不動産投資で融資を受けた方が良い理由とは?
不動産投資用の物件を購入するには多額の資金が必要となるため、金融機関で融資を受けるケースが多くみられます。
しかし中には「不動産投資を始める際には融資を受けた方が良いという意見を耳にするが、お金を借りることにマイナスイメージがあり、融資に抵抗がある」という方もいるのではないでしょうか。不動産投資を始める前に、融資に関する正しい知識を身につけておく必要があります。
この記事では、不動産投資で融資を受けるメリットや注意点を解説し、あわせて融資申請の流れも紹介します。不動産投資のための融資を検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
不動産投資の融資と住宅ローンの違いとは?
不動産投資の融資と似たイメージのものに、住宅ローンがあります。住宅ローンとは「自分が住む自宅を購入したり改築したりする際の費用」を金融機関から借りることです。一方、不動産投資の融資とは「収益を得る目的で不動産投資用物件を購入する際に必要な資金」を金融機関から借りることを意味します。
不動産投資の融資と住宅ローン、どちらも金融機関から資金を借りることに違いはありませんが、審査や融資額、金融金利などがそれぞれ異なります。どのような違いがあるのか、詳しくみていきましょう。
審査
不動産投資の融資を受けるには、まず審査に通ることが必要です。住宅ローンの場合は、借主の年齢や年収、勤続年数など「個人の属性」によって審査が行われます。一方、不動産投資における融資の場合、個人の属性に加えてどのくらいの採算がとれる物件なのかを評価する「物件の収益性」や、物件自体の価値を評価する「物件の資産価値」も審査対象です。
一般的に、住宅ローンよりも不動産投資の融資の方がハードルが高いといわれています。不動産投資の融資は住宅ローンに比べ審査項目が多いことが、その理由として挙げられるでしょう。
融資額
不動産投資の融資と住宅ローンでは、融資額にも違いがあります。住宅ローンは借主の給与からの返済が中心です。現在の住宅ローンの限度額は、年収の5〜7倍程度といわれています。
一方、不動産投資の場合は、住宅ローンの場合よりも高額な融資が受けられる可能性があります。不動産投資は物件を貸し出し、家賃収入を得ることが目的です。本業の収入に加え家賃収入もあるため、返済の元となる資金が多いとみなされるためです。ただし、個人の属性や物件の収益性、融資を受ける金融機関などによって融資額は前後することを覚えておきましょう。
金融金利
不動産投資には、高額な融資を受けていることや空室などで家賃収入が得られないことなど、さまざまなリスクがつきものです。融資の審査においても多くのリスクが考慮されるため、住宅ローンに比べて金利が高くなっています。
不動産投資の融資には、金利タイプが2種類あります。ひとつは返済完了まで金利が変わらない「固定金利」、もうひとつは定期的に金利が変動する「変動金利」です。固定金利は、長期間安定した返済が続けられますが、借り入れ後に金利が下がったとしても返済額は変わりません。
変動金利は、固定金利よりも金利が低く設定されています。長期にわたり低金利が続くと返済額も少なくなります。ですが逆に、将来の金利上昇リスクがあることも忘れてはいけません。
不動産投資の融資は厳しい?融資事情をご紹介
現在「不動産投資の融資は厳しい」という見方が一般的です。断続的に起こっている、金融機関の不正融資問題や建築会社の偽装建築問題などが原因として挙げられるでしょう。
加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響も出てきています。金融機関は入店人数を制限するなど業務を縮小しているため、審査や手続きに時間がかかっています。このような現状が、不動産投資の融資をさらに厳しいものにしているようです。
不動産投資への融資は先行き不透明ではありますが、融資の審査基準を理解した上で物件を選び、さらに属性を上げるなどの下準備することで、融資を受けられる可能性は十分にあります。融資の審査基準は金融機関によっても異なるため、各金融機関の融資姿勢について日頃から情報収集をしておくと良いでしょう。
不動産投資で融資を受けることのメリット
不動産投資を始めるにあたって、物件の取得費や手続きにかかる手数料など、多額の初期費用が必要となります。1棟マンションのように物件の規模が大きければ大きいほど、必要な資金は高額です。多額の資金全額を自己資金で賄える人は少なく、多くの人は融資を受けることとなるでしょう。
「金融機関からお金を借りること=借金」と捉え、融資にマイナスイメージをもっている方もいるのではないでしょうか。
しかし、不動産投資の融資を受けることで以下のようなメリットもあります。
- 不動産投資をすぐに始められる
- 家賃収入をローンにあてられる
ここではそれぞれについて詳しく解説します。
不動産投資をすぐに始められる
融資を受けるメリットには「不動産投資をすぐに始められること」が挙げられます。先ほどもお伝えしましたが、不動産投資用の物件を購入するには多額の資金が必要です。中には自己資金で物件を購入できるよう、お金を貯めようと考えている方もいるかもしれません。
投資をするために貯金から始める場合は、その分投資を始める時期が先延ばしになってしまいます。良い物件を見つけたとしても資金が足りず、すぐには購入できないこともあるでしょう。
このように自己資金が不足している場合でも、融資を受ければすぐに不動産投資を始められます。少ない資金で大きなリターンが期待できる「レバレッジ効果」によって、効率的に収益を得られる可能性もあるでしょう。
投資にはさまざまな種類がありますが、株や投資信託などは始めるための自己資金が必要です。自己資金がなくても融資を利用して投資を始められることは、不動産投資の大きなメリットといえるでしょう。
家賃収入をローンにあてられる
不動産投資をすると入居者から家賃収入を得られます。この家賃収入はローンの返済にあてることが可能です。本業の収入だけでなく家賃収入もローンの返済へあてられることは、不動産投資の融資を受けるメリットといえるでしょう。
融資を受けるための審査において、どのくらい採算がとれるかを判断する「物件の収益性」の評価が高ければ、高額な物件でも返済が見込めると判断され、融資を得ることが可能です。
とはいえ、空室になったり家賃滞納があったりする場合は、家賃収入が得られずローンの返済へあてられない場合もあるでしょう。そのような場合は、自己資金から返済しなければなりません。家賃収入をあてにして返済額を設定してしまうと、場合によっては自己資金が減ってしまうリスクも考えられます。確実に家賃収入が得られる物件を見極めることも、融資を受ける上で重要です。
不動産投資で融資を受ける際の注意点
不動産投資の融資を受けることでリスクが発生することもあります。
<h4ここでは、不動産投資で融資を受ける際の注意点として以下の2つを紹介します。
- 返済計画をたてる
- 管理を怠らない
リスクをただ恐れるのではなく正しく理解し、もしもに備えて対策を立てておくことが重要です。
返済計画をたてる
不動産投資の融資を受ける際の大きなリスクとして理解しておきたいのが、「ローンの返済が滞った場合には、破綻してしまう可能性がある」ということです。
不動産投資の融資を受ける場合、多くの方は家賃収入が得られることを想定して返済計画を立てるでしょう。常に入居者がいて毎月安定した家賃収入を得られている場合は問題ありません。しかし、空室がある場合は家賃収入が減ってしまうため、ローンの返済が難しくなってしまうことも考えられます。
不動産投資の融資を受ける際には、家賃収入の状況によってローンの返済が困難になる場合があることも想定し、返済計画を立てる必要があります。無理のない返済額を設定したり自己資金を蓄えておいたりするなど、家賃収入が得られない状況でも焦らずにすむような備えが重要です。
管理を怠らない
家賃収入をローンの返済へあてるためには、入居者がいることが前提です。入居者がいる状態をできるだけ長期間保てるよう、空室リスク対策を行うことが必要になります。たとえば、内装の設備や外装が古い物件は人気が低いため、入居者がなかなか決まらないこともあるでしょう。適切なリフォームや定期的な清掃をするなど物件の管理を怠らないことで、このような物件でも空室を防ぐことが可能です。
入居者が退去する場合は空室期間を長引かせないよう、なるべく早く次の入居者を募集する必要があります。とはいえ、入居者を募集してもすぐに見つかるとは限りません。物件によっては、なかなか入居者が決まらないこともあるでしょう。空室が長引く場合は、周辺物件の相場より家賃が高くないかなど、賃貸条件を見直すことも大切です。
不動産投資の融資の流れは?
不動産投資における融資の特徴を理解できたら、金融機関に融資を申請しましょう。
不動産投資の融資は以下のような流れで申請します。
- 融資申請の準備
- 審査の申し込み
- 可否の通知
- 手続き
ひとつずつ解説しますので、しっかりと確認しておきましょう。
融資申請の準備
不動産投資の融資を申請するためには、審査に必要な書類を揃える必要があります。
準備する主な書類は以下です。
- 物件概要書
- レントロール(賃貸借条件の一覧表)
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 不動産登記簿謄本
- 公図
- 建築確認済証
- 身分証明書(写真入り)
- 住民票
- 印鑑登録証明書
- 所得証明書(前年分の源泉徴収票など)
- 納税証明書(直近3年分)
- 資格証明書(ある場合のみ)
- 賃貸借契約書
- 支払通帳
- 保有資産一覧
このように不動産投資の融資を申請するには多くの書類が必要です。
融資の審査では、物件の収益性が大きな判断材料となります。そのため特に、購入する物件の詳細が記載されている「物件概要書」と、賃料など賃貸借条件を一覧表にした「レントロール」は重要です。早めに準備しておきましょう。
融資を受ける金融機関によっては、他にも書類を求められることがあります。書類に不備があると審査がスムーズに進まない可能性も考えられます。融資の遅れは不動産投資の運用開始の遅れにもつながるため、必要な書類は正しく揃えるようにしましょう。
審査の申し込み
金融機関に融資の審査を申し込む際は、あらかじめ電話やWebサイトから融資相談の予約をしておきましょう。予約をせず金融機関に出向いた場合、予約に空きがなかったり担当者が不在だったりすることを理由に相談できないことがあります。オンラインで融資相談を行っている金融機関もありますので、うまく活用すると良いでしょう。
一般的に、不動産投資の融資には仮審査と本審査があります。融資の事前相談をすることが「仮審査」となる場合が多く、申込者の返済能力や物件の収益性などが判断されます。その後、仮審査に合格した人のみが「本審査」に申し込める流れが基本です。金融機関によって審査の基準は異なります。1件目の金融機関に断られたとしても、別の金融機関では融資可能と判断されるケースもあるため、諦めずに申し込みを行いましょう。
可否の通知
融資の本審査の申し込みが完了したら、可否の通知を待ちましょう。金融機関によって異なりますが、不動産投資の融資の場合、可否の通知は時間がかかるケースが多いようです。2週間〜1か月程度かかるのが一般的ですので、焦らずに待ちましょう。
仮審査に通ったとしても、本審査では承認されないケースもあります。融資を受ける前提で物件を購入する場合は「融資特約」を必ず付けておきましょう。融資特約とは、融資を受ける前提で物件を購入したものの、融資の本審査が不成立となったときのための特約です。
融資特約を付けておけば、本審査が不成立となった場合に契約が白紙となり、契約締結時に支払った手付金や仲介手数料も返還されます。融資特約が適用されるには条件があるため、事前に確認しておくと安心です。
手続き
無事に本審査に通過し融資が承認されたら、金融機関と「金銭消費貸借契約」を結びます。金銭消費貸借契約とは、借主が貸主から借りた金額と同等の金銭を返済する契約です。契約書には、金利や融資期間など融資条件の詳細が記載されています。
契約後に変更できないため、どのような条件で契約をするのか、内容に問題がないかなど、十分に確認しておきましょう。その後、設定した融資実行日に融資金が所定の口座に振り込まれます。
まとめ
不動産投資で融資を受ける場合は、融資について正しく理解しておくことが大切です。融資を受ければ、自己資金が少なくても不動産投資を始められます。一方で、無理のない返済計画を立てることや物件の管理を怠らないことも欠かせません。
不動産投資の融資は厳しいのが現状です。しかし、融資の審査基準に合った物件選びや審査の事前準備などを行うことで、融資を受けられる可能性はあります。無理のない範囲で融資を受け、不動産投資をスタートさせてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
Other Articles その他の記事を見る
一覧はコチラ本コラムに関する注意事項
本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。本コラムは、その正確性や確実性を保証するものではありません。その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。いかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。