不動産投資の失敗事例3つと気を付けたいポイントを解説
不動産投資を始めようと思っても、なかなか一歩を踏み出せない…そんな方がいらっしゃるかもしれません。
もちろん投資ですので、必ず成功する保証はありませんし、誰もが失敗を恐れています。ましてや、不動産投資で失敗するとなれば、大きな損害を被る可能性もあります。
本記事では、不動産投資の失敗事例から学び、不動産投資について気を付けたいポイントを解説します。
この記事の目次
不動産投資の3つの失敗事例から学ぶ
まずは、不動産投資で多くの人が陥る失敗事例を3つ紹介します。状況をイメージしながら、読み進めてください。
失敗1:不動産投資の運用計画が甘い
まず、最初に紹介する失敗事例は、不動産投資の運用計画が甘いことです。初めて不動産投資をする方は、物件の運用経験がないため、予想外の事態に陥ってしまうことも仕方ないことともいえます。
しかし、先人の失敗事例を学ぶことによって、自身の運用計画を見直すことはできます。それでは、運用計画が甘くなってしまった原因をみていきましょう。
空室の可能性
不動産投資の運用で失敗してしまう原因の一つとして、空室を想定した運用計画ができなかったことです。物件を購入して賃貸物件とした場合、空室があればその分の家賃収入は入ってきません。不動産投資は、大きな労力を使わなくても安定した収入が見込めることが魅力と思われていますが、空室が多くある状態では家賃収入が得られないだけでなく、物件を維持するための経費がかかり、収入がマイナスになる可能性もあります。
例えば、アパートを1棟買いして、約90%の稼働率でプラス収支だとします。しかし、実際には50%の稼働率だったとします。その場合は当然収支はプラスにならずマイナスになってしまう可能性が高くなり、状況によっては不動産投資の借り入れ金の返済に支障をきたしてしまう可能性もあります。
小さなワンルームマンションの1室を購入した場合も同様です。入居者が決まらず、空室のままであれば、家賃収入はありません。家賃収入を借り入れ金の返済にあてることができないため、苦しい状況となるでしょう。
空室の可能性や稼働率の低下を想定して不動産投資の運用計画を練っておくことが大切です。
維持費の計算
運用計画の失敗につながるのは、維持費が発生することを認識せずに計画を立てることです。物件を取得すれば、当然維持費の支払いが発生します。
不動産投資にかかる維持費とは、所有する物件に毎年課せられる固定資産税が挙げられます。他にも、物件の外装や部屋に取り付けている設備が壊れたときの修繕費などのほか、マンションであれば修繕積立金や共益費などがかかります。また、入居者が退去したときのルームクリーニング費用なども維持費です。
戸建ての中古物件の場合は、屋根や床の修繕など、初めから高額の維持費が発生する場合があります。家賃収入を得る前から維持費が発生してしまうのです。
物件の管理会社への委託手数料を支払ってさえいれば、投資が成り立つと思っては大間違いです。物件の購入費も高額ではありますが、その物件の価値を損なわずに保つための維持費も相当かかることを頭に入れておきましょう。
マンションであれば、大規模修繕はいつ頃行われるのか確認し、戸建て物件であれば、大きくメンテナンスをしなければならない時期はいつ頃なのか想定しておく必要があります。
維持費が多く必要になる時期を把握できれば、家賃や入居に伴う敷金・礼金を修繕費としてストックしておき、もしものために備えておきましょう。
返済が計画倒れに
運用計画の失敗でありがちなこと、3つめはローンの返済が計画倒れになることです。誰もが、どうしても家賃収入に期待が膨らみ、借り入れ金の返済計画が甘くなる傾向にあります。
家賃収入と同じくらい、ローンの返済計画をしっかり確認しておきましょう。無理な返済計画であれば、返済可能な金額、期間に改めることが必要です。
予想していなかった大規模な修繕をしたらローン返済ができなくなってしまう、という事態が生じないように、余裕を持った返済計画を立てましょう。ゆとりを持った計画であれば、多少のトラブルが発生しても、滞りなく借り入れ金の返済ができるはずです。
返済計画の中で盲点ともいえるのが、金利です。低金利の状態が続いてはいますが、今後はどうなるか分かりません。金利が上がった場合はどうするのか、金利が上がってもローン返済を続けていけるかどうかも含めて返済計画として考えておくといいでしょう。
ライフステージと合わない投資
運用計画の失敗でありがちなこと、4つめはライフステージと合わない投資をしてしまうことです。不動産投資など、資産を運用しながら早期に労働からリタイアする生き方「FIRE(ファイア)」の生き方に注目が集まっていることや、国が投資を後押ししていることもあり、若いうちに投資を始める人が増えています。
しかし、不動産投資は、多くの場合、大きな元手が必要です。例えば、新入社員が借り入れをして投資を始めようと思っても、金融機関から勤続年数の少なさを指摘され、ローン審査が通らない可能性が高いでしょう
仮に、ローンを組めたとしても、物件の維持管理費を払うだけの余剰金を持っているでしょうか。また、空室となり家賃収入が入らない場合にもローン返済は続きますが、会社の給与をローン返済にあてることはできるでしょうか。
結婚や子どもの誕生、学び直しなど、ライフステージの変化によって、資金が必要となることもあるでしょう。そのような変化が起きたとしても、不動産投資をし続けることができるのか、運用計画を見直してみることが大切です。
失敗2:物件の選定の誤り
多くの人が陥りやすい不動産投資の失敗、2つ目は物件選定の誤りです。「投資ができれば、どのような物件でもいい」と、物件自体に興味を持っていない方は要注意です。
不動産投資では、お金を生み出していくのは物件です。最も大切な物件選びを誤ると、失敗が待っています。投資をしようとするとき、どのような物件を選択するか決めておくといいでしょう。
物件選定の誤りによる不動産投資の失敗事例を4つ紹介しますので、どのような物件を選べばいいのか考えてみましょう。
計画外の物件購入
どのような物件選定がよくないのか考える前に、実は、計画外の物件を購入してしまうことがあります。物件選びは不動産投資において大切であるのに、客観的に物件選びができず、主観的に物事を考えてしまったときに起こりがちな失敗です。
不動産投資における物件選びは、株式投資でいえばどの株式を購入するのか決めることと同じです。株式投資と同様、感情的にならず冷静に物件を選びましょう。
投資の目的は何か、どのくらいの期間でどの程度の収入を得られるといいのか、物件選びのものさしを持っておくのが重要です。例えば、老後に安定した収入がほしいという目的を持っているなら、空室になりにくい物件を選ぶ必要があるでしょう。空室となってしまったら、収入がなくなるばかりか維持費の支払いで生活が成り立たなくなるからです。
物件を購入してしまうと、株式のように簡単に手放すことができません。セールス文句に負けないように、物件購入の目的をしっかり持ち、よく考えてから購入しましょう。
空室続きの赤字物件
物件選びの失敗といえば、空室続きの赤字物件を掴んでしまうことです。赤字物件には理由があります。赤字になりやすい物件の特徴を知っておけば、赤字物件の購入を回避できるでしょう。
赤字物件になりやすい物件とは、簡単にいうと需要が少ない物件です。例えば、駅から遠いなどアクセスがよくない物件や眺望が悪い、騒音がやまないなどの立地条件が悪い物件は、賃料が安い、もしくは賃料に対して設備のグレードが高いなど、悪条件を上回る好条件がなければ入居する人は少ないでしょう。
エリアの需要を見極めることも重要です。学校の周辺であっても、小中学校であればファミリータイプの物件の需要があるでしょうし、専門学校や大学であれば一人暮らし用のコンパクトな物件が好まれるでしょう。病院の近くのエリアなら、屋内外がバリアフリー化されている物件や送迎車がスムーズに停車できる駐車場がある物件に需要があります。
注意が必要なのは、デザイナーズ物件です。個性的な物件は好みが分かれるでしょう。また、居住空間として快適に過ごすことができるかという視点でチェックしてみることが大切です。
購入をしてもいいという物件に出会ったとき、自分がエリアに住もうときに選ぶ物件かどうか、再考してみるといいでしょう。住まう側の立場に立って物件を見てみると、思わぬ不便さが見えてくる場合もあります。
アパート1棟への投資
物件選びの失敗の中には、アパート1棟への投資も挙げられます。部屋数がいくつもあるということは、さまざまな人が住むため、自分ではどうにもできない事態に巻き込まれる可能性があります。入居審査をしっかりしたとしても、想定外のできごとは起こります。
例えば、入居者が家賃を滞納したり、物件の評判が落ちるような出来事に遭遇したりという状況にもなり得るのです。突然のトラブル発生もあると心得ましょう。
強みのある物件のはずが……
物件を購入するとき、強みが1つだけしかない場合、その強みが失われた場合は、価値が少し落ちるどころか、需要さえなくなる場合があります。需要がなくなれば、ほかの建物と入居者を獲得するための競争は激化し、その競争に敗れれば、空室の期間が増える可能性があります。
例えば、大学や専門学校の近くでワンルームの物件を運用していた場合、学校がずっと同じ場所にあれば、入居者の入れ替わりはあるものの、入居者がいなくなることは考えにくいといえるでしょう。ただし、学校も永久に同じ場所にあるかといえば、そうでもありません。郊外型の広いキャンパスをうたい文句にしていたかと思えば、都心回帰しコンパクトでアクセス至便な都会型キャンパスに移転することもあります。
「学校の近くにある物件」だけでなく「鉄道駅から徒歩圏内の物件」「海へのアクセスがいい物件」などと複数の強みのある物件を購入しましょう。
失敗3:不動産会社と相性が悪い
物件を管理する不動産会社を選ぶことを物件選びよりもおろそかにしてしまいがちです。いい物件を選べれば不動産投資はうまくいくと思ってしまいます。
しかし、いい物件であっても、管理する不動産会社の選定を誤ると、投資の失敗を招きます。1つとして同じ物件がないように、管理をする不動産会社も会社の方針や担当する社員によって対応が異なります。
不動産会社との相性とは一体どのようなことでしょうか。3つ事例を紹介しますので、不動産会社との相性を見極めるための目を養っておきましょう。
サポートの不備
物件の管理を委託する不動産会社に期待することは、運用のサポートです。空室があれば、入居者で埋められるような提案をしてくれるようなサポートです。
自社の物件紹介サイトに掲載することや広告を出すことだけを提案してくるような不動産会社には注意しましょう。物件自体の問題を解決していないのに、広告宣伝費だけが発生する事態になりかねません。物件のオーナーの相談に親身に応じて、最適なサポートをしてくれるような会社を選びましょう。
サブリース契約をすすめられる
不動産会社からサブリース契約をすすめられることがあります。サブリース契約は、物件を不動産会社がオーナーから借り上げる仕組みです。物件に空室があっても、オーナーに会社から賃料が支払われるためリスクが低減すると注目されています。
この仕組みは、不動産会社側から見れば、オーナーから物件を安く借り、入居者に高く貸し出すことで利益を生むものです。できるだけ安くオーナーから物件を借り、入居者に高く貸し出すことで利益を増大させることが可能です。
オーナーにとっては、計画通りに運用できないという失敗を引き起こしかねません。契約金額が運用計画から外れないか、十分に検討しましょう。
節税対策に乗ってしまった
不動産投資の節税効果を前面に押し出しているような会社には要注意です。不動産投資の最大のメリットは物件を運用して収益を得ることです。しかし、節税対策のために物件の購入をすすめてくる会社の目的は、オーナーに高額な物件を売りつけることかもしれません。
「確定申告をオーナーの代理でやっておきます」という提案にも注意しましょう。本人の代理ができるのは税理士のみです。税に関する知識を持っていない可能性があります。
不動産投資で失敗しないためにやっておきたい3つのこと
不動産投資で失敗しないためにやっておきたい3つのことを解説します。たとえ失敗しても、失敗を最小限にとどめられるかもしれません。
1つ目:小まめに不動産の情報収集をする
不動産投資に関する知識を蓄えておくことで失敗を防ぐことができます。オーナーに知識があれば、不動産会社に任せるだけでなく、自分でも利回りアップのために動けますし、会社の営業社員とより深い話ができるようになるでしょう。
また、不動産投資を取り巻く環境は変化するので、学び続けることも必要です。法律や社会情勢は変わりますので、常にアンテナを張っておき、情報のアップデートに努めましょう。
2つ目:目先の利益にとらわれない
早く利益を得ようとすると、失敗する確率が高くなります。例えば、高い利回りであっても、高価格であれば、借り入れ金の返済も重くなるでしょう。
また、高利回りで低価格の物件には、パッと見るだけでは分からないリスクが潜んでいる場合もあります。失敗を回避するためには、目先の利益にとらわれずに慎重に動いていきましょう。
3つ目:想定外の事態に備えておく
いくら備えておいても、想定外の事態が起こる可能性は残されています。不動産投資を失敗に終わらせないために、トラブルを回避する方法だけでなく、トラブルが生じたときの動きもシミュレーションしておきましょう。
問題解決を図るために、法律の専門家が必要なのか、特殊清掃の事業者の力を借りる必要があるのかなど、あらかじめ物件の管理を任せる不動産会社に相談しておくといいです。
不動産投資に失敗したかな?と思ったら
不動産投資で失敗してしまったら、どうしたらいいでしょうか。失敗と一口に言っても、その程度はさまざまで、回復のために動けるかどうかも状況によって異なります。
失敗したときにどのような対処が必要なのか、ヒントとなる2点を解説します。
失敗したときの状況判断ができるようにしておく
失敗したと思ったとき、落ち込むのはそこそこにして状況の分析や判断ができるように努めましょう。赤字物件で家賃収入がなく、維持管理のための経費がかさんでいる状況なのか、その状況は改善できるのかなど、冷静に分析しましょう。
小さな失敗が大きな失敗に拡大していくと判断した場合には、即座に売却して現金を回収するなど、新たな行動も必要となります。失敗したときにも、次の行動を起こせるような気力と体力を残せるようにしておきましょう。
売却できるようにしておく
不動産投資の理想的な流れは、いい物件を低価格・適正価格で購入しできるだけ高い利回りで運用し、高値で売却することです。不動産投資に失敗して、損失が取り戻せないときには「売却するタイミングが早まった」と割り切り、事態の改善に注力しましょう。
売却するときには、不動産会社の言いなりにならず、相場感を調べ希望価格などを伝えましょう。売却時にも焦りは禁物です。
まとめ
不動産投資の失敗にはいくつかパターンがあることが分かりました。他者の失敗から学び、自身の失敗回避につなげていきましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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