不動産投資 2022.09.12

収益不動産の売却方法とは?高く売るためのコツやメリットを解説

収益不動産の売却方法とは?高く売るためのコツやメリットを解説

マンションやアパートなど、収益不動産の売却を考えている方の中には、いつが売り時なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。収益不動産を売却するのであれば、できる限り高く売りたいと考えるのは当然のことです。しかし、不動産は金額が大きく、タイミングを誤ると損をしてしまうリスクもあります。今回は、収益不動産の具体的な売却方法について解説します。収益不動産を売却するメリット・デメリットや高く売るための方法についてもお伝えしますので、収益不動産の売却を検討している方はぜひご一読ください。

この記事の目次

収益不動産とは?

収益不動産(収益物件)は、所有している物件を個人や事業者に貸すことで、毎月一定の賃貸収入を得る目的の不動産のことです。

具体的には次のような物件をさします。

  • 戸建てやアパート、マンションなどの住居系物件
  • 企業の事務所が入るオフィス系物件
  • 飲食店やコンビニなどの店舗が入るテナント系物件

収益不動産は自己居住用の物件ではないため、購入する際は住宅ローンではなく、不動産投資ローンを利用することになります。

収益不動産を売却するメリット・デメリット

収益不動産を売却することに、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここからは、収益不動産を売却するメリットやデメリットについてお伝えします。

収益不動産を売却するメリット

収益不動産を売却するメリットには、次の4つがあります。

  • 利益と損益を確定できる
  • 入居者を募集する手間がかからない
  • 修繕費用の発生や金利上昇のリスクを負わない
  • 売却益を他の用途に使える

それぞれについて具体的にみていきましょう。

利益と損益を確定できる

収益不動産を売却する1つめのメリットが「利益と損益を確定できること」です。

収益不動産を所有している間、一定の賃料収入が得られる一方、修繕費用なども発生します。収益不動産を売却すると、その時点で利益と損失を確定できるので、収益の見通しを立てやすくなります。

入居者を募集する手間がかからない

収益不動産を売却する2つめのメリットが「入居者を募集する手間がかからないこと」です。

収益不動産は毎月一定の賃料収入を得ることが目的の1つですが、入居者がいなければ得られる収入も当然減ってしまいます。収益不動産を売却すれば、入居者を募集する手間がかからず、空室の心配をする必要がないでしょう。

修繕費用の発生や金利上昇のリスクを負わない

収益不動産を売却する3つめのメリットが「修繕費用の発生や金利上昇のリスクを負わないこと」です。

収益不動産には、年々老朽化していくため修繕費用がかかったり、住宅ローンの金利が上がって収益以上の費用がかかってしまったりするリスクもあります。収益不動産の売却はこれらのリスクを追わなくてすむため、リスクヘッジにもなります。

売却益を他の用途に使える

収益不動産を売却する4つめのメリットが「売却益を他の用途に使えること」です。

収益不動産を売却するとまとまった資金を手にできるため、そのお金を他の用途に使えます。ローンの返済にあてたり、より収益性の高い物件に買い替えたりすることで、さらなる利益を生むことも可能です。

収益不動産を売却するデメリット

次に、収益不動産の売却で起こりうるデメリットを説明します。

  • 定期的な収益が得られなくなる
  • 売却から現金化まで時間がかかる
  • オーナーチェンジ物件はトラブルになる可能性も

上記3点のデメリットについて把握しておきましょう。

定期的な収益が得られなくなる

「定期的な収益が得られなくなること」は、収益不動産を売却する大きなデメリットです。

入居者のいる収益物件を所有していれば、毎月収入を得ることができます。しかし売却すると、定期的な収益を得られなくなります。収益性の高い物件であるほど収入減も大きくなるため、注意が必要です。

売却から現金化までに時間がかかる

「売却から現金化までに時間がかかること」も収益不動産を売却するデメリットの1つです。

収益不動産の売却には一般的に3〜6ヶ月程度かかるとされています。買い手があらわれない場合はさらに時間がかかります。築年数が経過している物件はリフォームが必要なケースもあり、さらに時間がかかることもあるでしょう。

オーナーチェンジ物件はトラブルになる可能性も

収益不動産を売却するデメリットとして、「オーナーチェンジ物件はトラブルになる可能性があること」も頭に入れておきましょう。

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出される物件のことです。買い手が利回りを計算しやすいメリットがある半面、買い手から入居者の状況がわかりにくいため、取引成立後にトラブルが発生することがあります。

オーナーチェンジ物件の売却はより慎重に進めることが大切です。

収益不動産を売却する際に気を付けたいこと

収益不動産を売却する際には、ローン残債を考慮する必要があります。そもそも、ローン残債がある収益不動産を売却できるのかどうか、気になる方もいるでしょう。

結論からいうと、売却金でローンを一括返済できるのであれば、ローン残債があっても売却可能です。売却価格がローン残債に満たない場合は、差額を自己資金で補填しなければなりません。

ローン残債がある物件の売却を考える際は、事前に残債と査定額を確認しておくことが大切です。

また、単純に売却価格と購入価格で比較をしてしまうと、税金や収益物件の運用にかかるコストの計算を忘れてしまいがちです。売却を考える際は、税金や運用コストを差し引いても収益があるのかを含め、総合的に判断しましょう。

収益物件の売却価格はどうやって決まる?

収益不動産の売却を考える際、売却価格が気になる方は多いのではないでしょうか。

ここからは、収益不動産の売却価格がどのように決まるのかについてみていきます。所有物件をなるべく高く売るためにも、収益物件の価格の種類や算出方法、価格の決め方について把握しておきましょう。

収益物件の価格を決める3つの算出方法

収益不動産の売却を決めたら、どのくらいの価格で売れるのか不動産会社に査定してもらう必要があります。

不動産はまったく同じものが存在しないため、いわゆる「定価」は存在しません。そのため、不動産会社の査定によって売却価格の目安を算出することとなっています。

収益不動産価格の査定には「収益還元法」「原価法」「取引事例比較法」の3つの方法があります。その中から、不動産の状況や条件によって査定方法を選ぶのが一般的です。

3つの算出方法がそれぞれどのような計算方法なのか、くわしく解説しましょう。

収益還元法

「収益還元法」は、DCF(Discounted Cash Flowの略)ともよばれ、将来その物件がどのくらいの収益をあげられるのかを予想して査定額を算出する方法です。

「将来その物件が使えなくなるまでに得られるであろう収益」と「不動産の入手や管理にかかる経費」を差し引き、残りの金額を査定価格とします。

収益還元法は収益から算出するため、おもに居住用物件ではなくマンションなどの賃貸物件を査定するときに使われます。

原価法

「原価法」は、再調達原価(その物件を新しく建てた場合にかかる原価)を計算し、そこから経年劣化を差し引いて現在の価値を求める算出方法です。

たとえば同じ5,000万円の物件でも、「30年前の5,000万円」と「現在の5,000万円」では価値が異なります。そのため、現在の物価で同等の不動産を手に入れると、どれくらいの金額になるのかを求めるのが原価法です。

銀行がよく用いる算出方法で、どのくらいの金額を融資してもらえるかを計算する際の目安になります。

取引事例比較法

「取引事例比較法」は、売却予定の物件と似たような条件の物件が過去に取引された実績をもとに、売却価格を算出する方法です。

できるだけ多くのデータを集めて適切な事例と比較することで、市場価値に近い価格が算出できるメリットがあります。

ただし、取引実績が少ないと適切な比較対象を選びにくいため、事例が少ない地方における物件の算定にはやや不向きともいえます。収益物件よりも自己居住用の住居物件の査定によく用いられる算出方法です。

最終的な売却価格は買主が決める

収益不動産の価格算出において、それぞれの方法で求めた価格の間に差が出ることはめずらしいことではありません。何を重視するかは不動産会社や金融機関によって異なります。

物件の最終的な売却価格は、売主と買主が交渉で落としどころを探り、最終的には買主が決めることとなっています。

ウェブ上で不動産の査定ができるサービスもあるため、一度ご自身で査定してみてはいかがでしょうか。

収益不動産を売却する方法と手順

ここからは、実際に収益不動産の売却方法についてみていきます。収益不動産を売却するには、「不動産会社に仲介を依頼する方法」と「不動産会社に買取を依頼する方法」の2通りがあります。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを知った上で、どちらがご自身に向いているか検討しましょう。

不動産会社に仲介を依頼する

1つめが、不動産会社に収益不動産の査定を依頼し、媒介契約を結んで物件の買い手を探してもらう方法です。媒介契約は基本的に1社と結びますが、契約の種類によっては複数の会社と結ぶことも可能です。

媒介契約の種類には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあり、媒介契約を依頼できる会社の数や売却活動の報告回数などが異なります。

早く確実に買い手を見つけたい場合は「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」、時間をかけてでも納得する価格で売却したい場合は「一般媒介契約」がおすすめです。

仲介のメリット・デメリット

不動産会社に仲介を依頼する際のメリットとして、相場とほぼ変わらない金額で売却できることがあげられます。不動産会社と連携しながら買主を探すことになるため、少しでも高く売却したいと考えている人におすすめです。

ただし仲介の場合、仲介手数料が必要です。また、売却完了まで時間がかかってしまうデメリットもあります。収益物件は時間がたつほど経費もかかるため、売却が長引くと利回りが下がる恐れがあることに注意しましょう。

不動産会社に買取を依頼する

もう1つが、買取業者とよばれる不動産会社に収益不動産を直接買い取ってもらう方法です。

買取業者とは、自社で不動産の買取を行う業者のことです。一般的には、不動産会社が物件を買い取ったあと、リフォームなどの手入れをしてから売却する流れになっています。
買取業者の中には区分マンションや一棟マンションなど、特定の種類を専門としている業者も多く、独自の査定基準で査定を行います。

建物の老朽化で損傷が激しかったり空室があったりして、仲介では売りにくいアパートなどの物件でも、専門の業者であれば買い取ってもらえるかもしれません。

買取のメリット・デメリット

買取のメリットとして、条件が合えば早期に売却でき、すぐに現金化できることがあげられます。これは、不動産会社に直接買い取ってもらうために得られるメリットです。仲介ではないため仲介手数料が必要なく、他の人に知られずに売却できることもメリットといえるでしょう。

買取のデメリットは、売却価格が相場よりも安くなりやすい点です。不動産会社は物件を買い取ったあとにコストをかけて再販するため、相場より低い価格でしか買い取ってもらえないことが多いようです。

収益不動産売却時の税金について

収益不動産の売却には、さまざまな税金がかかります。

収益不動産を売却して手元に残るのは、売却金額から税金や手数料を引いた金額です。また税金は、売却コストの一部として損益分岐点に影響を与えます。そのため税金についてしっかり把握しておく必要があります。

収益物件の売却にかかる「不動産譲渡所得税・住民税」「印紙税」「抵当権抹消免許税」の3つについて解説しましょう。

不動産譲渡所得税・住民税

不動産を売ったときの売却益から求められる譲渡所得は、他の所得とは別に課税されることになっています。

物件の譲渡価格から取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得で、それに税率をかけたものが譲渡所得税・住民税として課せられます。

印紙税

収益不動産の売買で作成する「不動産売買契約書」に必要なのが、印紙税です。物件の譲渡価格によって印紙の金額は異なり、所定の額面の収入印紙を契約書に貼付し、それを消印することが義務付けられています。

抵当権抹消免許税

ローンの残債が残っている収益不動産には、金融機関の抵当権が設定されています。しかし抵当権がついたままでは売却できないため、抵当権抹消登記を行う必要があります。この登記にかかるのが抵当権抹消免許税です。

不動産1個につき1,000円がかかり、土地と建物の場合は2,000円となります。

収益不動産を高く売る方法

収益不動産を売却するのであれば、より高く売りたいと考えている方も多いでしょう。高く売るにはいくつかのコツがあります。不動産の売買はタイミングや手順を誤ると利益を得るどころか、大きく損をしてしまいかねません。

収益物件を少しでも高く売るために、どういった点に着目すれば良いのか、売却のポイントについてお伝えします。

利回りを基準とした適正価格で売り出す

収益不動産を売るときには、利回りを基準とした適正価格で売り出すようにしましょう。とはいっても、不動産価格は物件によって条件や状況が大きく異なるため、適正価格がわかりにくいといえます。

不動産は基本的に、相場と著しく乖離した金額では売買が成立しません。投資家が収益物件を購入する際は、利回りを基準として検討することが多いです。それを踏まえ、収益物件の売却価格は利回りを基準として適正価格で売り出すのが良いでしょう。

個人で正確な金額を算出するのは難しいため、不動産会社に査定してもらうのがポイントです。

高く売れるタイミングを狙う

収益不動産を高く売るには、高く売れるタイミングを狙うことも大切です。同じ収益不動産でも、タイミングや物件の状況によっては相場より高値で売却できるケースがあります。

おすすめは以下のようなタイミングです。

  1. マンション価格が高騰しているとき
  2. 修繕工事が必要になる前
  3. 満室になっているとき

マンションの場合、老朽化が進むとさまざまな修繕工事が必要になるため、築6〜15年が売り時といえます。タイミングを見誤ると損をしてしまうこともあるため、売却の時期は慎重に検討しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

収益不動産を高く売りたいなら、複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。

1社だけでは情報や強みに偏りが生じることがあります。複数の会社に相見積もりを依頼することでより正確な査定額を知ることもできます。同じ物件の売買でも、不動産会社が異なるだけで査定額が2〜3割変わることもめずらしくないようです。

不動産一括査定サイトを使えば、一括で簡易査定を依頼可能です。どの不動産会社に依頼すればよいかお悩みの方は、活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

収益不動産の売却は金額が大きく、投資や不動産に関する知識も必要なため難しいと思われがちです。

しかし、信頼できる不動産会社を見つけ、自分に合った方法で売却活動を進めることで、納得のいく金額や条件での売却が可能になります。今はAI不動産査定や不動産一括査定など、不動産の売却に役立つサービスも数多くあります。

収益不動産の売却を検討している方は、ぜひこれらのサービスを活用し、納得のいく取引につなげてみてください。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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