不動産投資を始めるには。おすすめの手順と不安への対策
この記事を開いた方は「不動産投資が気になる」と感じているのではないでしょうか?
「不動産投資」という言葉を耳にしたことがあっても、「なぜ不動産投資を始めるのか?」というそもそもの疑問や不動産投資の仕組み、始める手順などの具体的な内容には触れる機会が少ない人もいるでしょう。
今回は、不動産投資に興味をもった方に向けて、不動産投資を始める目的や不動産投資で利益を得る仕組み、投資物件の購入手順などをお伝えします。購入を進めていくうえで不安になったときの対処法も解説します。
この記事の目次
不動産投資を始める目的
不動産投資を始める目的は、個人の資産形成にあります。
「不動産投資なら安定した収入を確保できる」「株式投資などの資産運用と比べて、比較的ローリスクな投資ができる」などの特徴をメリットだと感じた方が、投資を始めるなら不動産投資を選ぶというケースが多いようです。
では、なぜ不動産投資には「安定した収入を確保できる」「比較的ローリスクな投資が可能」という特徴があるのでしょうか?
不動産投資で利益を得る仕組みとともに、その特徴の理由を説明します。
不動産投資で利益を得る仕組みは2種類
不動産投資は「インカムゲイン(家賃収入)」「キャピタルゲイン(売買益)」の2種類の仕組みで利益を得られます。
それぞれの仕組みとメリット・デメリットを見ていきましょう。
インカムゲイン(家賃収入)
不動産投資で用いられる「インカムゲイン」は、自身が所有する不動産物件を賃貸物件とすることで運用益を得る「家賃収入」を指します。例えば、分譲マンションの一室を購入し、その一室を賃貸物件として家賃15万円で入居者に貸した場合、毎月約15万円の家賃収入を得られます。
この「入居者から毎月安定した家賃収入を得られる」仕組みが、不動産投資におけるインカムゲインです。
不動産投資を始める際の自己資金は「購入を検討している価格の2割~3割の頭金と、その他の手数料や登録費用などの諸経費のみ」で始められます。
一例として、1,000万円のマンション1室の購入を検討する場合、開始資金は200万~300万円プラス諸経費が目安です。
不動産投資ローンを組む金融機関によっては、これらの開始資金も全額ローンでまかなえるプランを利用できる場合もあるため、開始資金に不安があれば相談してみると良いでしょう。
また、「賃貸経営で発生した費用を不動産投資の経費として計上できる」「現金よりも相続税額の計算評価額が低い」などの面から、税金対策につながる可能性もあります。
インカムゲインのデメリットは、以下の通りです。
- 利益回収に時間がかかる
- 管理費や固定資産税、税金などの支出が定期的に発生する
- 入居者が入らない=収入が発生しない
- 賃貸物件の修繕費やメンテナンスが必要
経年劣化の補修・修繕や、予期せぬアクシデントでの出費を考えておく必要がある点など、長期運用ならではの対応が求められます。
キャピタルゲイン(売買益)
不動産投資で用いられる「キャピタルゲイン」は、自身が所有している不動産物件を売却して得る「売買益」をさします。
キャピタルゲインの場合は、「不動産購入時にかかった費用よりも高い値段で売却できた際の額」が利益となるため、「購入額よりも価格が高騰する」という先見の明が必要になります。
都市開発計画やベッドタウンとしてのニーズなど、情勢を読む能力に長けた方が高額売却に成功すれば、大きな利益が見込めるでしょう。
しかし、購入額よりも低額で売却した場合は損失が大きくなります。インカムゲインと比べてハイリスクハイリターンな側面が強く、株式投資の売買と似た特徴をもつ仕組みといえるでしょう。
また、物件購入後しばらくはインカムゲインで収入を得て、地価が上昇したら物件を売却しキャピタルゲインを得るという方法もあります。
一見すると、不動産投資の2種類のメリットを享受できる方法に見えます。しかし、地価が上昇しなかった場合や経年劣化で物件の価値が下がった場合、トータルで考えるとマイナスになる可能性もあるため注意しましょう。
投資物件の購入手順方法
不動産投資を始めるには、キャピタルゲイン・インカムゲインどちらの場合も、まず不動産物件の購入が必要です。
購入手順の方法と手順について、順を追って見ていきましょう。
物件を探し、購入する
物件を探す方法は、以下の2種類です。
- 不動産情報誌やインターネットなどで情報を集めて独自に探す
- 不動産仲介業者に相談する
いずれの方法でも、不動産投資の目的や目標、自己資金額などをあらかじめ設定し、条件に合った物件を選定していきます。
購入予定エリアや物件の種類(マンション・戸建てなど)の詳細も考えておくと、希望する物件をより絞りこみやすくなるでしょう。
不動産物件には、戸建てやアパート、マンション、新築、中古などさまざまなタイプがあります。はじめは小規模からスタートしたいと考えている不動産投資初心者の方には「区分マンション」や「築年数が古い物件」がおすすめです。
どちらも購入価格が抑えられるため、不動産投資ローンの返済額も無理のない範囲におさめやすく、不動産投資を始めるハードルも低くなるからです。
ただし、中古物件や築年数が古い物件は物件のメリットを見るだけでなく、建物の欠陥や独自の地域性など「難のある物件」の可能性も疑ったほうが良いでしょう。
一例として、シロアリなどの被害に遭っている物件では、基礎工事をおこなった結果、購入金額よりもリフォームや耐震工事などの代金が上回ってしまった……というケースも存在します。
また、建物自体は問題が無くても、近隣の住民とのトラブル等により売家になっていた場合は、キャピタルゲイン・インカムゲインともに極めてハイリスクな物件となるおそれがあります。
物件を購入する際は「入居したくなる物件か」を考えて、「なぜその物件が売りに出されているのか」を綿密にリサーチすることが大切です。管理会社への資料請求や内見、現地視察などで物件を調査すると良いでしょう。
物件調査の際に、押さえておきたいポイントの一例は以下のような点です。
- 最寄駅から物件まで、実際に歩いて何分かかるか
- 坂が多い、階段がある、歩道が狭いなどのデメリットがないか
- 入居者が自家用車を利用するケースを考えている場合、周囲の道幅や一方通行、スクールゾーンなどで不便な道がないか
- 街灯の数は十分か(夜に内見できるとなお良し)
- 物件の日当たり環境や風通しなどは快適か
- 騒音や振動などがなく、快適な環境か
現地で内見をおこなって初めてわかることも多いため、「自分が住みたいと思えるか」を考えて現地で何度も内見すると良いでしょう。
不動産投資の物件購入は決して安い買い物ではないので、納得いくまで調査をしてから購入を決めることをおすすめします。
収支計画を立てる
購入する物件が決まったら、次に収支計画を立てます。予想収入や支出、空室率などを計算し、一定期間でどのくらいの利益が出るかを計画します。
この段階で利益が見込めない、赤字になってしまうという場合は、購入をあきらめるほうが良いでしょう。
不動産仲介業者に相談して購入を検討している場合は、不動産会社に収支計画の立案を依頼することも可能です。
しかし、その場合も「計画内容に無理がないか」「希望的観測で計画されていないか」など、不安な点がないかを入念にチェックしておきましょう。
また、賃料の相場変動や税制の改正など、さまざまな要因により収支計画が破綻するおそれもあります。収支計画は最初に立てるだけではなく、定期的に見直しをはかるようにすると良いでしょう。
不動産投資ローンに申し込む
収支計画を立てて利益が見込めると判断できたら、続いて不動産投資ローンの申し込みをおこないます。
不動産投資ローンは、まず事前相談をおこない、仮審査から本審査の順に進めていく手順が一般的です。
不動産仲介業者に相談している場合は、金融会社の紹介を受けられることもあります。
金融機関にはそれぞれ独自の審査基準があるため「A社の審査には落ちたけれど、B社では審査に通った」というケースも多々あります。
もし1社の審査に落ちてしまっても、別の金融機関で審査を受けてみると良いでしょう。
売買契約を締結する
不動産住宅ローンの仮審査が通ったら、本審査と平行して、売買契約の締結を進めていきます。
売買契約の締結は、買主と売主、仲介の不動産会社が一堂に会しておこなうのが一般的です。
最初に仲介の不動産会社から買主への重要事項説明がおこなわれます。ここは特にしっかりと確認をしておきましょう。
「物件の内容」「取引条件」「特約」などの重要事項説明をすべて確認し問題がなければ、売買契約書にサインをして売買契約を締結します。
この締結には「手付金」の支払いが必要になります。
「手付金」とは「買主が売主に支払う契約金」です。
金額は売主と買主の間でおこなわれる交渉により決定されます。売主が個人の場合、一般的な相場は売買代金の5~10%です。不動産業者の場合は、上限額20%までと法律で定められています。
物件引き渡し、代金支払いをおこなう
売買契約締結後、不動産住宅ローンの本審査に通過したら、金融機関と不動産住宅ローンを正式に締結します。正式な締結をおこなう前までに、金利や融資期間などの諸条件についてくまなく確認しておきましょう。
物件の引き渡しと代金支払いは、不動産投資ローンを締結した金融機関の店舗で、売主と買主、不動産会社の担当者、金融機関の担当者、司法書士が出席しておこなわれます。
まず、司法書士が名義変更の登記に必要な書類を確認し、金融機関への融資実行を指示。その後、買主は融資金で売主側へ代金を支払います。
買主が物件の鍵や関連書類を売主から受け取れば、物件の引き渡しが完了です。
この手続きの際は、買主側にも以下の書類や金銭が必要になります。
- 印鑑
- 実印
- 住民票(1枚~複数枚の場合もある)
- 印鑑証明書(発行日から3ヵ月以内)
- 不動産投資ローンを締結した金融機関の預金通帳
- 不動産投資ローンを締結した金融機関の銀行届出印
- 免許証やパスポートなど本人確認ができる書類
- 住宅用家屋証明書
- 残代金
- 固定資産税や管理費など清算金
- 仲介手数料の残金
- ローンの諸費用
- 火災保険料
- 地震保険料
状況や契約内容によって、必要な書類や金銭は異なります。
物件の引き渡しと代金の支払いの際に、書類や金銭不備の不足でトラブルにならないよう、不動産会社の担当者に必要なものをあらかじめ確認しておきましょう。
購入手順で不安を感じた時は?
不動産物件の購入には、たくさんの手順が必要です。進めていくうちに不安を感じることもあるのではないでしょうか。
「もう話が進んでしまっているから…」と不安をそのままにして手続きを進めてしまうと、大きな後悔につながるおそれがあります。
ここでは、不安になった際の対処法を紹介します。
家族の同意や理解を得て、家族内で話し合える環境を作る
不動産投資を始める際は、初期段階から家族の同意や理解を得ておくことをおすすめします。
生計を共にする家族は、経済面において確実に味方であるといえます。これは「信頼できる」という点において重要な要素です。
不動産投資の物件購入には、売主や不動産会社、金融会社などさまざまな他人が介入します。
不動産会社は専門的知識を有しているため、積極的に相談していくのもひとつの方法です。しかしときには、「向こうも商売だし、不動産会社の利益や損得を優先しているのではないか」と不安を感じることもあるのではないでしょうか。
そのようなときに家族内で話し合える環境ができていると、不安を解決できたり、新たな視点で物件購入へのアプローチができる可能性があるでしょう。
撤退手順を確認しておく
特にインカムゲインでの収支計画を立てる際は、長期的な収益性だけを考えたくなります。しかし、購入検討段階から売却時を意識し、撤退手順を確認しておくことも重要です。
撤退手順の一例として以下のようなことが考えられます。
- (不動産会社の仲介を受けている場合)購入した物件を不動産会社に売却できるかをあらかじめ確認しておく
- 売却を決めた際に需要が見込めるか(買い手が見つかるか)
- 入居者に売却する手順はどうすればいいか
撤退手順を確認しておくことで、「収支計画通りにいかなかった場合も、撤退という選択肢がある」と考えられ、気持ちにゆとりをもてるでしょう。
まとめ
不動産投資は、さまざまな知識やたくさんの手順が必要です。
不動産投資がもつメリットとデメリットをしっかりと理解し、明確な目的や指針をもって不動産投資を始めてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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