不動産投資
2026.06.25

家賃収入を確定申告していないとどうなる?バレる理由・ペナルティ・今からできる対処法

家賃収入を確定申告していないとどうなる?バレる理由・ペナルティ・今からできる対処法

不動産を所有して家賃収入を得ている場合、確定申告が必要になるケースがあります。申告していないまま放置すると、税務署からの調査・追徴課税・各種ペナルティに直面するリスクがあります。

申告義務の有無の判断から、バレる仕組み、実際に科されるペナルティの内容、そして今からできる対処法まで、順を追って解説します。

この記事の目次

不動産を所有して家賃収入を得ている場合、確定申告が必要になるケースがあります。申告していないまま放置すると、税務署からの調査・追徴課税・各種ペナルティに直面するリスクがあります。

申告義務の有無の判断から、バレる仕組み、実際に科されるペナルティの内容、そして今からできる対処法まで、順を追って解説します。

家賃収入を確定申告していない場合、まず今すぐ確認すべきこと

家賃収入があっても、すべての場合に確定申告が必要というわけではありません。ただし、確定申告が不要と思い込んでいる方が申告義務を見落としているケースも少なくないため、まず自分の状況を正確に把握することが大切です。

家賃収入は「不動産所得」として申告が必要になる場合がある

家賃・地代・礼金・権利金など、土地や建物の貸付によって得た収入は「不動産所得」に分類されます。不動産所得が発生している場合でも、給与所得者で給与以外の所得が年間20万円以下であるなど、一定の要件を満たす場合には所得税の確定申告が不要となることがあります。

申告が必要かは「家賃収入」ではなく「所得」で判断する

不動産所得の金額は、年間の家賃収入から、固定資産税・管理委託費・修繕費・減価償却費・ローン利息などの必要経費を差し引いた額です。

たとえば年間120万円の家賃収入があっても、必要経費が130万円を超えれば不動産所得はマイナス(赤字)となります。申告義務の有無は収入ではなくこの所得ベースで判断するため、まず収支の実態を把握することが重要です。

給与所得者は不動産所得が年間20万円超なら確定申告が必要

会社員など給与から源泉徴収を受けている方は、給与所得以外の所得合計が年間20万円以下であれば確定申告が不要とされています(所得税法第121条)。

ただし、この20万円という基準はあくまで「所得」の額であり、収入から必要経費を引いた後の数字です。年間の家賃収入が50万円程度あっても、必要経費を適切に計上すれば不動産所得が20万円以下に収まるケースもあります。逆に、経費をほとんど計上できない状況であれば、比較的少額の家賃収入でも申告義務が生じます。

赤字や少額でも住民税の申告が必要になるケースがある

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告義務が別途生じる場合があります。住民税の申告には「給与所得以外の所得が年間20万円以下なら不要」という所得税のような免除規定がないためです。

不動産所得が赤字であっても、住民税の申告が必要になるケースや、申告することで他の所得との損益通算による節税効果が生まれるケースもあります。居住する市区町村の窓口に確認するか、税理士に相談して申告義務の有無を明確にしておくことが重要です。

家賃収入を確定申告していないと税務署にバレる?

申告をしていない方の中には、金額が少ないから大丈夫、現金でやり取りしているから分からないはず、といった認識を持っている方もいます。しかし、税務署は多様な情報ルートを持っており、家賃収入の無申告は発覚する可能性が相応にあります。

家賃収入の無申告はバレる可能性がある

国税庁は各種資料情報を活用して申告内容の確認を行っています。不動産登記情報や支払調書などを調査の端緒として利用することがあり、必要に応じて金融機関への照会が行われる場合もあります。

国税庁が公表した令和6事務年度の調査では、所得税無申告者に対して4,812件の実地調査が行われ、1件あたりの追徴税額は524万円と、過去最高となりました(出典:国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」)。税務署が無申告の把握に積極的に取り組んでいる実態が数字にも表れています。

銀行口座への家賃入金で把握される

家賃が毎月定期的に振り込まれている場合、銀行口座の取引履歴が税務調査のきっかけになることがあります。

税務署は必要に応じて金融機関に照会できる権限を持っており、不審な入金が続く口座は調査対象になりえます。現金手渡しであれば分からないと考える方もいますが、入居者側の家賃支払いが経費計上されている場合(法人契約など)、そこから収入の存在が把握される経路もあります。

不動産登記・相続・売買情報から把握される

不動産の登記情報は公開されており、税務署はその情報を活用しています。

物件を取得した際の不動産取得税や登録免許税の申告、相続が発生した際の相続税申告、さらに物件を売却した際の譲渡所得申告などを通じて、不動産の所有状況が税務署に把握されます。物件を所有しているにもかかわらず不動産所得の申告がない場合、税務署のシステムで矛盾が検知されることがあります。

入居者や法人契約先の支払調書・経費処理から発覚する

法人が事務所や社宅として物件を借りている場合、その賃料は法人側の経費として処理されます。法人の経費記録と賃貸人の申告内容が突合されることで、申告漏れが発覚するケースがあります。

また、不動産管理会社が絡んでいる場合、管理会社からの支払調書や帳簿情報が税務署への参考資料となる場合があります。

税務署から「お尋ね」が届いた場合の意味

税務署から「不動産所得のある方へ」などと題した文書(通称「お尋ね」)が届いた場合、税務署がすでに収入の存在を把握しており、申告状況を確認しようとしているサインです。

この段階では正式な税務調査ではありませんが、放置したり虚偽の回答をしたりすると、後の調査で悪質と判断される要因になります。お尋ねが届いた場合は、速やかに申告内容を見直し、必要であれば税理士に相談して対応することが賢明です。

家賃収入を無申告のままにした場合のペナルティ

確定申告をしていなかった場合、本来の税額に加えてさまざまな附帯税が課されます。放置期間が長引くほど金銭的な負担は増大するため、早期の自主申告が重要です。

無申告加算税がかかる

確定申告の期限内に申告を行わなかった場合、本来納付すべき税額に対して「無申告加算税」が上乗せされます。2024年(令和6年)1月1日以降の法定申告期限に係る国税については税制改正により、税率が引き上げられています。税務調査を受けた後に申告する場合、納付すべき税額が50万円以下の部分に15%、50万円超300万円以下の部分に20%、300万円超の部分に30%の割合で課されます。

税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合、税率は5%軽減されます。また、法定申告期限から1カ月以内に自主的に申告し、全額を納付しているなど一定の要件を満たす場合には、無申告加算税が免除されます(出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」)。

延滞税が日数に応じて増える

申告期限を過ぎた場合、無申告加算税とは別に「延滞税」も課されます。延滞税は納期限の翌日から納付が完了するまでの日数に応じて日割りで加算される、いわば税の延滞利息です。

納期限から2カ月以内は年2.8%、2カ月を超えると年9.1%の割合が適用されています(※延滞税の割合は毎年見直されます。最新の税率は国税庁の公表情報を確認する必要があります。出典:国税庁「延滞税の割合」)。

未申告の期間が長ければ長いほど延滞税の総額は膨らみ、本税・無申告加算税と合算すると相当な金額になることがあります。

悪質な隠ぺいと判断されると重加算税の対象になる

帳簿を意図的に偽造したり、収入を故意に隠したりするなど、税務署が「隠ぺいまたは仮装」と判断した場合には、より重い「重加算税」が課されます。

重加算税の税率は無申告の場合40%、過少申告の場合35%であり、無申告加算税と重複して課されることはありませんが、その代わりに無申告加算税よりはるかに重い負担となります。また、2024年の税制改正では、過去に無申告加算税または重加算税を課されたことがある者が再度無申告となった場合の加重措置も設けられており、繰り返しの無申告に対する制裁は一層厳しくなっています。

過去分までさかのぼって追徴される可能性がある

税務調査では、通常直近3年分が調査対象となりますが、無申告が見つかった場合は5年分、悪質な隠ぺいや仮装が認められた場合は7年分にまでさかのぼって調査・追徴されることがあります。

申告漏れが数年にわたって続いていた場合、本税・加算税・延滞税の合計額は多額になります。なお、申告期限後であっても原則5年以内であれば期限後申告が可能であり、故意の場合は7年まで修正の対象となりえます。

青色申告の承認取り消しや金融機関への信用低下にも注意

青色申告の承認を受けている方が無申告や帳簿の不備を指摘された場合、青色申告承認の取り消しを受けるリスクがあります。

青色申告が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除が適用できなくなるほか、純損失の繰越控除なども利用できなくなります。加えて、税務署から追徴課税を受けた事実が金融機関に知られた場合、融資審査や取引上の信用に悪影響が出る可能性もあります。

家賃収入の確定申告をしていないときの正しい対処法

無申告の状態に気づいた場合は、放置するほど不利になります。税務署から連絡が来る前に自主的に動くことが、ペナルティを最小限に抑える最善の策です。

税務署から連絡が来る前に期限後申告をする

税務署から調査の事前通知が来る前に自主的に期限後申告を行った場合、無申告加算税の税率が軽減されます。

さらに、法定申告期限から1カ月以内かつ一定要件を満たす場合は、無申告加算税が免除される特例もあります。自主申告は遅れるほど不利になるため、申告が必要だと気づいた時点でできる限り速やかに動くことが重要です。e-Taxを利用すれば自宅からでも申告書の作成・提出が可能です。

すでに申告済みで家賃収入だけ漏れていた場合は修正申告をする

過去に確定申告を行ったものの、家賃収入の計上が漏れていたことに気づいた場合は「修正申告」を行います。修正申告は税務署から調査通知が届く前に自主的に行うことで、過少申告加算税が免除されます(自主的な修正申告の場合、過少申告加算税は課されません)。税務署の指摘を受けてからでは加算税が課されるため、早期の自主修正が基本的な対処法です。

過去何年分を申告すべきか確認する

無申告が複数年にわたっている場合、どの年度分まで申告すべきかを把握する必要があります。前述のとおり、原則として過去5年分(悪質な場合は7年分)にさかのぼっての申告が必要です。

各年度の収入・経費の記録を可能な限り収集し、収支計算を行います。賃貸管理会社が介在している場合は管理会社から賃料の入出金明細を入手でき、ローン返済の明細や固定資産税の納税通知書なども経費の根拠資料として活用できます。

納税資金が足りない場合は税務署に相談する

追徴税額が多額で一括納付が困難な場合、税務署に分割納付(猶予)を申請できます。「換価の猶予」または「納税の猶予」の制度があり、財産を売却することなく分割で納税できる場合があります。

申請に際しては財産の状況や収支を証明する書類が必要となるため、早めに所轄の税務署の窓口に相談することが重要です。無申告のまま放置して督促状が届いてから動くよりも、自主的に相談に行く姿勢が税務署側の対応にも好影響を与えます。

不安が大きい場合は税理士に相談する

複数年にわたる無申告、多額の追徴が見込まれる場合、すでに税務署から「お尋ね」が届いている場合などは、税理士(特に税務調査対応を得意とする税理士)への相談を強く検討してください。

税理士は申告書の作成だけでなく、税務署との交渉や分割納付の申請、重加算税への対応など、専門的なサポートを提供します。自力で対応しようとして申告内容に誤りが生じると、さらに問題が複雑化することがあります。

無申告を放置するより、物件の売却を検討した方がよいケース

家賃収入の無申告が長期化している場合、追徴課税への対応と並行して、物件の売却自体を検討したほうがよい状況もあります。不動産投資の収益性や物件の状況、今後の管理方針を総合的に判断することが重要です。

税金・修繕費・管理費を差し引くと手残りが少ない場合

家賃収入があっても、固定資産税・修繕費・管理委託費・ローン利息・保険料などを差し引くと実質的なキャッシュフローがほぼゼロまたはマイナスになっているケースがあります。

こうした状況に加えて過去の無申告分の追徴課税まで発生した場合、物件を保有し続けることのコスト負担が重くなります。収支の実態を改めて試算し、売却して得た資金で納税を済ませたほうがトータルで有利になるケースがあります。

空室や老朽化で今後の収益悪化が見込まれる場合

築年数が経過した物件は修繕費が増加し、空室リスクも高まります。将来的な収益見通しが厳しい場合、今売却するほうが高い売却価格を実現できる可能性があります。

物件を保有し続けながら毎年の申告義務を継続するコストや手間も考慮したうえで、売却という選択肢を検討する価値があります。

過去の無申告分の納税資金を確保したい場合

複数年にわたる無申告で追徴税額が多額になり、納税資金の確保が困難な場合、物件を売却してその資金で納税するという方法があります。

売却益が出た場合は譲渡所得税が別途かかるため、売却前に税務上のシミュレーションを行ったうえで意思決定することが重要です。

相続した物件を今後も管理する予定がない場合

親などから相続した賃貸物件を持て余しており、管理や修繕への対応が負担になっている場合もあります。

相続時に不動産所得の申告義務が生じることを知らずに無申告となってしまうケースも少なくありません。管理を続けることが現実的でないと判断するなら、早期に売却して資産を整理し、相続税や無申告分の納税に充てることを検討するのが合理的な選択肢です。

売却前に収支・税金・査定額を確認する

売却を検討する場合は、まず不動産会社に査定を依頼して現在の市場価値を確認します。

その後、売却益に対する譲渡所得税(所有期間5年以下は短期譲渡所得税率39.63%、5年超は長期譲渡所得税率20.315%)の試算も行い、手取り額と追徴税額の見込みを比較することが重要です。

税務と不動産の両面にまたがる判断となるため、不動産会社と税理士の双方に相談しながら進めることをすすめます。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人

難解なイメージのある投資不動産の取引について、『わかりやすく』お伝えすることにこだわってます。不動産投資は、それぞれ置かれている状況、ご事情やご希望条件によりゴールへの道筋が異なります。皆様にとって最適な道標を描くヒントとなれるような情報発信を心がけます。 著者の記事一覧はコチラ
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