投資用マンションは住宅ローン審査に影響する?マイホーム購入前の対策と売却方法
投資用マンションを所有していると、マイホーム購入時の住宅ローン審査に影響が及ぶ場合があります。審査で見られる具体的なポイントや、購入前に売却を検討すべきケース、残債がある場合の売却方法まで詳しく解説します。
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投資用マンションを所有していると、マイホーム購入時の住宅ローン審査に影響が及ぶ場合があります。審査で見られる具体的なポイントや、購入前に売却を検討すべきケース、残債がある場合の売却方法まで詳しく解説します。
投資用マンションを持っていると住宅ローンに影響する?
投資用マンションを所有していること自体が、住宅ローンの審査で直ちにマイナス評価になるわけではありません。しかし、投資用ローンを借り入れている場合は状況が異なります。金融機関は住宅ローンの審査にあたって、申込者がすでに抱えている借入金の状況を総合的に確認するため、投資用ローンの返済が続いている限り、その負担は審査上の重要な判断材料になります。
具体的には、年収に対する年間返済額の割合を示す「返済負担率」や、投資用ローンの残債、賃貸経営から生じるキャッシュフローの状況、これまでの返済履歴や信用情報といった要素が複合的にチェックされます。マイホーム購入を控えている場合は、これらのポイントを事前に把握し、必要に応じて対策を講じておくことが望ましいといえます。
投資用マンションが住宅ローン審査に影響する4つのポイント
投資用マンションを保有していることが住宅ローンの審査結果にどう影響するのかは、主に4つの観点から整理できます。それぞれの内容を理解しておくことで、審査に通りやすい借入計画を立てやすくなります。
返済負担率が高くなり住宅ローンの借入可能額が下がることがある
住宅ローンの審査では、年収に占める年間返済額の割合である「返済負担率」が重要な指標として用いられます。代表的な全期間固定金利型住宅ローンである「フラット35」では、年収400万円未満の場合は返済負担率30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下となる金額が借入限度額の目安とされており、この返済負担率には住宅ローンだけでなく自動車ローンや教育ローン、カードローンなどすべての借入金の年間返済額が含まれます(参考:フラット35「Q.年収による借入額などの制限はありますか。」)。
投資用マンションを保有し、投資用ローンの返済を続けている場合、この年間返済額に投資用ローンの返済分も加算されます。その結果、返済負担率の枠内で住宅ローンに充てられる金額が少なくなり、希望していた借入可能額に届かないケースが出てきます。年収が同じであっても、投資用ローンの有無によって組める住宅ローンの上限額は大きく変わる点に注意が必要です。
投資用ローンの残債が借入余力に影響する
返済負担率の計算だけでなく、投資用ローンの残債そのものも借入余力の判断材料になります。金融機関から見れば、投資用ローンの残債は将来にわたって返済が続く既存債務であり、住宅ローンという新たな大型債務を上乗せしてよいかどうかを慎重に見極める対象となります。
残債が多く残っている段階では、たとえ毎月の返済額が家賃収入で賄えていたとしても、金融機関によっては保守的な評価を行うことがあります。特に複数の投資用ローンを抱えている場合や、返済期間がまだ長く残っている場合は、住宅ローンの審査においてマイナス材料として扱われやすくなる点を踏まえておく必要があります。
毎月のキャッシュフローが審査で見られることがある
投資用マンションの経営状況、つまり家賃収入からローン返済額や管理費、修繕積立金などの支出を差し引いた毎月のキャッシュフローも、審査における確認事項のひとつです。家賃収入が経費を上回り、安定した黒字を維持できていれば、投資用ローンを抱えていても比較的前向きに評価されやすくなります。
反対に、空室の発生や家賃下落によって収支が赤字に近づいている場合は、投資物件の経営リスクとして捉えられ、住宅ローンの審査に慎重な判断が下される要因になり得ます。確定申告書や賃貸借契約書などの書類をもとに、直近の収支実績が具体的に確認されることも多いため、日頃から収支状況を把握し、必要であれば改善策を検討しておくことが大切です。
なお、確定申告における不動産所得が赤字である場合、その赤字分は他の所得と損益通算できますが、金融機関の審査においては賃貸経営そのものの安定性に疑問符が付く材料として扱われることもあります。減価償却費の計上によって帳簿上は赤字でも実際のキャッシュフローは黒字というケースもあるため、審査を受ける際には実質的な資金の流れを説明できるよう、収支の内訳を整理しておくとよいでしょう。
ローンの返済状況や信用情報も確認される
住宅ローンの審査では、投資用ローンの返済がこれまで滞りなく行われてきたかどうかも確認されます。金融機関は信用情報機関に登録されている情報をもとに、延滞や遅延の履歴がないかをチェックします。過去に一定期間以上の延滞があった場合、その記録が信用情報に残っていると、住宅ローンの審査に不利に働く可能性があります。
反対に、投資用ローンの返済を長期間にわたって遅延なく続けてきた実績は、返済能力を示すプラスの材料としても評価されます。マイホーム購入を計画している段階から、投資用ローンの返済状況をあらためて確認し、遅延がないかを点検しておくとよいでしょう。
住宅ローンを組む前に投資用マンションを売却したほうがよいケース
投資用マンションを保有したままでも住宅ローンを組めるケースはありますが、状況によっては先に売却しておいたほうが有利に働く場合もあります。売却を検討する目安となる代表的なケースを紹介します。
住宅ローンの希望借入額に届かない可能性がある
前述のとおり、投資用ローンの返済負担が加わることで、住宅ローンの借入可能額が想定より少なくなることがあります。試算の結果、希望する物件を購入するために必要な借入額に届かないと分かった場合は、投資用マンションを売却して投資用ローンを完済することで、返済負担率に余裕が生まれ、希望に近い金額を借り入れられる可能性が高まります。
家賃収入よりローン返済・管理費などの負担が大きい
家賃収入だけでは投資用ローンの返済や管理費、修繕積立金などの支出を十分にカバーできていない状態が続いている場合、その投資用マンションは家計にとって負担になっている可能性があります。このような状態で住宅ローンという新たな返済まで抱えることになれば、家計全体の収支が圧迫されるおそれがあります。マイホーム購入を機に、収支バランスの改善を目的として売却を検討する価値があります。
毎月持ち出しが発生している
家賃収入だけでは支出をまかないきれず、自己資金から補填する「持ち出し」が毎月発生している場合は特に注意が必要です。持ち出しが続く状態は、賃貸経営そのものが赤字であることを意味し、住宅ローンの審査においても収支の悪化として捉えられやすくなります。持ち出しの原因が一時的なものか、構造的なものかを見極めたうえで、改善が難しいようであれば早めの売却を選択肢に入れるとよいでしょう。
空室や修繕費の増加が今後予想される
築年数が経過した投資用マンションでは、今後の空室リスクの高まりや、大規模修繕に伴う修繕積立金の値上げが見込まれることがあります。現時点での収支は黒字でも、将来的な支出増加や収入減少が予測される場合、住宅ローンを組んだ後に家計へ与える影響はより大きくなります。長期的な収支の見通しを立てたうえで、リスクが高いと判断される場合は、マイホーム購入前の売却も検討材料になります。
マイホーム購入を優先したい
資産形成の観点から投資用マンションを保有し続けたいという考え方もありますが、マイホーム購入を最優先に考えるのであれば、投資用マンションの売却によって投資用ローンを完済し、住宅ローンの審査条件を整えるという選択肢も現実的です。どちらを優先するかによって取るべき対応は変わるため、家族のライフプラン全体を踏まえて優先順位を明確にしておくことが重要です。
投資用マンションはローン残債があっても売却できる?
投資用ローンの残債が残っている状態でも、投資用マンションの売却自体は可能です。ただし、売却価格とローン残債の関係によって、必要な手続きや資金準備が異なります。
売却価格がローン残債を上回る「アンダーローン」の場合
売却によって得られる代金がローンの残債を上回る状態を「アンダーローン」と呼びます。この場合は、売却代金でローンを一括返済すれば手続きが完了するため、追加の自己資金を用意する必要はありません。
むしろ、残債を返済してもなお手元に資金が残るケースが一般的です。市場価格が購入時より上昇しているエリアの物件や、購入から年数が経過してローン残高が十分に減っている物件では、アンダーローンとなりやすい傾向があります。
売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の場合
反対に、売却代金だけではローンを完済できない状態を「オーバーローン」と呼びます。オーバーローンの場合、不足分を自己資金で補填する必要があり、貯蓄で対応できなければ売却自体が難しくなることもあります。金融機関によっては、不足分について別途ローンを組む対応が取られる場合もありますが、審査のハードルは一般的に高くなります。
オーバーローンへの対応方法としては、主に次のような選択肢が挙げられます。
- 自己資金(貯蓄)で不足分を補填し、ローンを完済する
- 売却を急がず返済を続けて残債を減らし、アンダーローンに近づけてから売却する
- 家賃を見直す、あるいは空室対策を行って収支を改善し、返済ペースを早める
いずれの方法を選ぶにしても、まずは不足額がどの程度になるのかを正確に把握することが出発点になります。不足額の規模によって現実的に取れる選択肢が変わってくるため、金融機関や不動産会社に早めに相談し、複数のシミュレーションをもとに方針を固めていくことが望まれます。
売却前にローン残高と現在の査定価格を確認する
アンダーローンかオーバーローンかを正確に把握するためには、まず金融機関に現在のローン残高を確認し、あわせて不動産会社に査定を依頼して現時点での想定売却価格を把握する必要があります。
査定価格は築年数や立地、周辺の取引事例などによって変動するため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することが、より実態に近い価格を把握するうえで有効です。ローン残高と査定価格の両方が明らかになって初めて、売却によって資金がどの程度手元に残るのか、あるいは不足するのかを具体的に判断できます。
投資用マンションを売るか持ち続けるか判断する5つの基準
投資用マンションを売却すべきか、それとも保有を続けるべきかは、感覚的な判断ではなく、複数の具体的な数字を並べて検討することが重要です。判断の軸となる5つの基準を整理します。
現在のマンション査定価格
まず把握すべきは、現時点での想定売却価格です。購入時からの市場変動や築年数の経過によって、査定価格は当初の想定と大きく異なっていることも珍しくありません。査定価格を把握することで、売却した場合にどの程度の資金を確保できるのか、具体的なシミュレーションが可能になります。
投資用ローンの残債
次に確認すべきは、投資用ローンの残債額です。査定価格と残債額を比較することで、アンダーローンかオーバーローンかが判明し、売却に伴う資金計画の見通しが立てられます。残債の減り具合は返済年数によって大きく異なるため、ローンの償還表などで正確な金額を確認しておくことが大切です。
毎月・年間のキャッシュフロー
家賃収入からローン返済額、管理費、修繕積立金、固定資産税などの支出を差し引いた毎月および年間のキャッシュフローも重要な判断材料です。安定した黒字が続いているのであれば、保有を継続する合理性は高いといえます。反対に、赤字基調が続いている、あるいは持ち出しが発生している場合は、売却を前向きに検討する材料になります。
今後発生する修繕費や管理費
現在の収支だけでなく、将来的に発生が見込まれる大規模修繕費や、管理費・修繕積立金の値上げといった将来コストも考慮する必要があります。築年数が進んだマンションほど、こうした将来コストの負担は大きくなる傾向があります。長期修繕計画の内容を管理組合に確認するなどして、今後の支出増加を織り込んだうえで判断することが望まれます。
マイホーム購入時期と必要な住宅ローン額
最後に、マイホーム購入をいつ、いくらの予算で計画しているかという時間軸と資金計画も欠かせない基準です。購入時期が近く、必要な住宅ローン額が大きい場合ほど、投資用ローンの返済負担が審査に与える影響は大きくなります。逆に購入時期にまだ余裕があるのであれば、投資用マンションの収支を改善しながら保有を続け、購入が近づいた段階で売却を判断するという選択も可能です。
たとえば、マイホーム購入まで数年の猶予がある場合は、その間に投資用ローンの返済を進めて残債を減らしておくことで、いざ売却を判断する際にアンダーローンとなりやすくなり、資金計画にも余裕が生まれます。反対に、転勤や家族構成の変化などでマイホーム購入の時期が急に前倒しになる場合は、投資用マンションの売却手続きにかかる期間も逆算しておく必要があります。査定から売買契約、引き渡しまでには一般的に数か月単位の時間がかかるため、購入計画が固まった時点で早めに不動産会社へ相談し、並行して準備を進めておくと安心です。
査定価格、残債、キャッシュフロー、将来コスト、そしてマイホーム購入計画という5つの基準を突き合わせることで、売却と保有のどちらが自身の状況に合っているかを、根拠を持って判断できるようになります。ひとつの基準だけで結論を急がず、複数の視点から現状を整理したうえで、家族のライフプランに合った選択を検討することが大切です。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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