収益不動産の買取とは?相場や高く売るコツ・買取業者の選び方を解説
収益不動産の買取は、仲介手数料や売却期間を抑えながら物件を現金化できる売却方法です。買取相場の考え方や高く売るための具体策、買取業者を選ぶ際に確認すべき点を整理し、築古物件や空室の多い物件でも売却できるかを解説します。
この記事の目次
収益不動産の買取は、仲介手数料や売却期間を抑えながら物件を現金化できる売却方法です。買取相場の考え方や高く売るための具体策、買取業者を選ぶ際に確認すべき点を整理し、築古物件や空室の多い物件でも売却できるかを解説します。
収益不動産を買取で売却するメリット
収益不動産の売却方法には仲介と買取の2種類があり、買取は不動産会社が直接買主となる点が仲介と異なります。買主を探す手続きが不要になるため、売却の進め方や条件面で仲介にはない利点が生まれます。両者の基本的な違いは以下の通りです。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 個人・法人などの第三者 | 不動産会社自身 |
| 売却までの期間 | 数カ月〜半年程度 | 数週間程度 |
| 売却価格の傾向 | 市場価格に近い水準 | 市場価格の7〜8割程度 |
| 仲介手数料 | 発生する | 発生しない |
| 契約不適合責任 | 負うケースが多い | 免責となるケースが多い |
| 情報公開の範囲 | ポータルサイト等で広く公開 | 非公開で進行可能 |
短期間で現金化しやすい
買取は不動産会社が査定額を提示した時点で売買条件が確定するため、契約から決済までの期間が短くなります。仲介の場合は売り出しから成約まで数カ月から半年程度を要するケースが一般的ですが、買取では査定から数週間程度で決済・引き渡しに至ることも珍しくありません。相続税の納付期限や借入金の返済期日など、資金が必要になる時期が決まっている場合には、この期間の短さが実務上の利点になります。
仲介手数料がかからない
仲介による売却では、宅地建物取引業法に基づき400万円超の物件の場合は「物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税」を上限とする仲介手数料が発生します。買取では不動産会社が買主となるため、この仲介手数料が発生しません。物件価格が高額になりやすい一棟アパートや一棟マンションでは、仲介手数料だけで数百万円規模になることもあり、手数料が不要になる点は手取り額に直接影響します。
買主を探す必要がない
仲介では、内覧対応や条件交渉、住宅ローン審査の結果待ちなど、買主が確定するまでに複数の工程が発生します。買取の場合は不動産会社自身が買主となるため、こうした工程が省略され、購入希望者の融資審査が通らずに契約が白紙になるといった仲介特有のリスクを避けられます。入居者がいるオーナーチェンジ物件のように、内覧調整が難しい物件との相性も良い方法です。
周囲に知られず売却しやすい
仲介では物件情報がポータルサイトやレインズに公開され、不特定多数の購入希望者からの問い合わせや内覧に対応する必要があります。買取では物件情報を広く公開せずに売却手続きを進められるため、入居者や近隣、取引先に売却の事実を知られにくいという特徴があります。賃貸経営から撤退する事情を明らかにしたくない場合や、相続に伴う資産整理を静かに進めたい場合に適した方法です。
築古・空室の多い物件でも売却できる可能性がある
仲介では、築年数の古さや空室率の高さが購入希望者の融資審査に影響し、売却が長期化しやすくなります。買取業者は再生・再販のノウハウを持ち、リフォームや用途転換を前提に物件を評価するため、仲介市場では売却が難しい物件でも買取の対象になる場合があります。
現況のまま売却できるケースが多い
買取では、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)を免責とする契約条件で取引されることが多く、雨漏りや設備の不具合、耐震性能の不足などが見つかった場合でも、修繕せずに現況のまま引き渡せるケースが一般的です。仲介で個人の買主に売却する場合は、引き渡し後に契約不適合責任を問われるリスクが残りますが、買取ではこのリスクを避けやすくなります。
収益不動産を買取で売却するデメリット
買取には手続き面での利点がある一方、価格や買取可否の面で仲介とは異なる制約もあります。売却方針を決める前に、これらの点をあわせて確認しておく必要があります。
仲介より売却価格が低くなる可能性がある
不動産会社は買い取った物件にリフォームや管理体制の見直しを行ったうえで再販・再運用し、そこから利益を確保する必要があります。そのため買取価格は、仲介で成立が見込まれる市場価格よりも低く設定される傾向があります。目安として、買取価格は仲介による売却価格の7〜8割程度とされています。
仲介手数料が不要になる分、実際の手取り額の差はこの割合よりも小さくなりますが、価格面では仲介が有利になりやすい点は押さえておく必要があります。
買取業者によって査定価格に差が出る
買取価格は、不動産会社が想定する再販方法やリフォーム費用、保有期間中のリスクの見積もり方によって変わります。同じ物件であっても、収益物件の取扱いに強みを持つ業者と、そうでない業者とでは、査定額に数百万円単位の差が生じることがあります。1社のみの査定額で判断すると、本来より低い金額で売却してしまう可能性があるため、複数社への査定依頼が欠かせません。
すべての収益不動産を買い取ってもらえるとは限らない
買取を行うには不動産会社側に相応の資金力が必要となるため、買取自体を行っていない不動産会社も存在します。また、再建築不可物件や違法建築、極端に入居率が低い物件などは、再販・再運用の見通しが立てにくいことから、買取自体を断られる場合があります。買取を前提に売却を進める際は、対象物件の種別やエリアでの取扱い実績がある業者を選ぶ必要があります。
収益不動産の買取相場はいくら?
収益不動産の買取相場は、区分マンション・一棟アパート・一棟マンションといった物件種別、立地、収益性によって大きく変動するため、一律の相場を示すことはできません。ただし、仲介価格との関係や査定の仕組みを理解しておくことで、提示された買取価格が妥当かどうかを判断しやすくなります。
買取価格と仲介での売却価格の違い
買取価格は、仲介で想定される市場価格の7〜8割程度が目安とされ、物件の状態によっては5割程度まで下がることもあります。この差は、不動産会社が再販時に見込むリフォーム費用や販売経費、在庫として保有する期間中の固定資産税や金利負担などを織り込んだ結果です。
収益物件そのものの市場水準を把握するうえでは、投資用不動産を取り扱うポータルサイトなどのレポートが参考になります。たとえば、健美家が公開している「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年7月期のレポートによると、全国平均価格は以下の通りで、高い水準を記録しています。
| 物件種別 | 全国平均価格(2026年7月期) |
|---|---|
| 区分マンション | 2,766万円 |
| 一棟アパート | 9,033万円 |
| 一棟マンション | 2億618万円 |
仲介市場での価格水準が上昇している局面では、買取価格の目安となる基準額自体も高くなる傾向があります。
収益不動産の査定価格が決まる仕組み
収益不動産は、居住用不動産とは異なり、物件そのものの資産価値に加えて、賃料収入がどの程度安定して見込めるかという収益性が査定の中心的な要素になります。査定額は、複数の項目を組み合わせて算出されます。
立地・周辺の賃貸需要
最寄り駅からの距離や周辺の人口動態、競合物件の供給状況は、将来にわたる賃貸需要を左右するため、査定額に大きく影響します。同じ築年数・同じ利回りの物件であっても、賃貸需要が旺盛なエリアほど査定額は高くなる傾向があります。
家賃収入と利回り
現在の家賃収入とそれに基づく表面利回りは、収益物件の査定における基本的な指標です。前述の健美家のレポートによると、区分マンションの全国平均利回りは6.68%でした。
利回りの低下は物件価格の上昇局面で起こりやすく、価格帯や地域によって水準が変わるため、対象物件と同種別・同エリアの平均利回りと比較する視点が必要です。
入居率・空室率
現況の入居率は、収益の安定性を示す直接的な指標として査定に反映されます。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家率は13.8%となり、統計開始以降で過去最高を記録しました。空き家全体のうち賃貸用の空き家は約443万戸で、空き家全体のおよそ半数を占めています。
全国的に賃貸住宅の供給が需要を上回りやすい局面にあることを踏まえると、入居率の高さや募集条件の妥当性は、査定額を左右する重要な要素になります。
築年数・建物の状態
建物の構造や築年数は、法定耐用年数や今後見込まれる修繕費用の規模に直結するため、査定額に反映されます。鉄筋コンクリート造のマンションと木造・軽量鉄骨造のアパートでは、同じ築年数でも劣化の進み方や評価の基準が異なります。
土地・建物の資産価値
賃貸経営が終了した後の出口戦略として、土地としての活用や建て替えを想定する買取業者もあるため、路線価や周辺の取引事例に基づく土地単体の資産価値も査定項目に含まれます。とくに収益性が低下した築古物件では、建物よりも土地の価値が査定額の中心になることがあります。
修繕履歴・管理状況
過去の修繕履歴や管理組合・管理会社による管理状況は、建物の維持管理レベルを示す資料として査定に用いられます。長期修繕計画に沿って計画的に修繕を行ってきた物件は、今後の修繕リスクが把握しやすいため、買取業者にとって評価しやすい対象になります。
収益不動産を少しでも高く買い取ってもらう6つのコツ
買取価格は交渉の余地が限られる一方で、事前の準備や業者選びによって査定額に差が生じます。以下の点を整理したうえで査定に臨むことで、より納得感のある価格での売却につながります。
収益不動産の買取実績が豊富な会社を選ぶ
居住用不動産の買取を主とする業者と、収益物件の買取・再生を専門とする業者とでは、査定の視点や提示できる価格帯が異なります。区分マンション・一棟アパート・一棟マンションなど、対象物件の種別における取扱い実績を確認したうえで、査定を依頼する業者を選ぶ必要があります。
家賃・入居状況など収益資料を準備する
レントロール(家賃・入居者一覧表)や賃貸借契約書、直近の収支実績をまとめておくことで、査定担当者が収益性を正確に把握できるようになります。資料が整っていない状態では、保守的な前提で査定額が算出されやすくなるため、事前準備が査定額の精度に直結します。
修繕履歴や管理状況を整理する
外壁塗装や屋上防水、給排水管の更新といった過去の修繕記録を整理しておくと、今後発生しうる修繕費用の見積もりが立てやすくなり、査定額における不確実性の割引を抑えられます。長期修繕計画がある場合は、あわせて提示すると評価の材料になります。
周辺の売却相場を事前に調べる
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」やレインズマーケットインフォメーションでは、近隣エリアの成約事例を確認できます。同種別・同エリアの相場をあらかじめ把握しておくことで、提示された査定額が妥当な水準にあるかどうかを判断しやすくなります。
査定額だけでなく買取条件まで比較する
決済までのスピード、契約不適合責任の免責範囲、諸費用の負担区分など、査定額以外の条件も業者によって異なります。査定額の高さだけで業者を選ぶと、契約後に想定外の費用負担が発生することもあるため、条件全体を比較したうえで判断する必要があります。
売却を急ぎすぎない
売却時期に強い制約がない場合は、複数社の査定を比較し、必要に応じて交渉の余地を確認したうえで契約先を決めることができます。時間的な余裕を持って進めることで、提示された最初の査定額をそのまま受け入れるのではなく、条件面での調整を検討しやすくなります。
収益不動産の買取業者を選ぶポイント
買取業者の選定は、売却価格だけでなく取引全体の満足度に影響します。以下の観点から複数の業者を比較したうえで、依頼先を決める必要があります。
収益物件の買取実績を確認する
公式サイトや取引事例を通じて、区分マンション・一棟アパート・一棟マンションなど、対象物件と同じ種別での買取実績があるかを確認します。実績が豊富な業者ほど、収益性や地域特性を踏まえた査定を行いやすくなります。
得意な物件種別・エリアを確認する
買取業者にはそれぞれ得意とする物件種別やエリアがあります。都心のワンルームマンションを得意とする業者と、地方の一棟アパートを得意とする業者とでは、同じ物件に対する評価が変わることがあるため、対象物件との相性を確認しておく必要があります。
査定価格の根拠を説明してくれるか確認する
査定額の内訳や算出根拠を具体的に説明できる業者は、収益還元法や取引事例比較法といった評価手法を踏まえて査定を行っている可能性が高くなります。根拠の説明が曖昧な場合は、査定額の妥当性を判断しづらくなるため、注意が必要です。
買取までのスピードを確認する
査定から契約、決済・引き渡しまでにかかる標準的な期間は業者によって異なります。資金化を急ぐ事情がある場合は、事前に想定スケジュールを確認し、対応可能な業者を選ぶ必要があります。
手数料や諸費用を確認する
買取では仲介手数料が発生しない一方で、以下のような費用が別途発生する場合があります。
- 売買契約書に貼付する印紙税
- 抵当権抹消登記などの登記費用
- 境界確定が必要な場合の測量費用
- 買取後の管理業務の引き継ぎに関する費用
これらの費用負担区分は業者によって異なるため、契約前に内訳を確認しておく必要があります。
契約条件や契約不適合責任を確認する
契約前には、以下の項目を契約書の中で明確にしておく必要があります。
- 契約不適合責任の免責範囲
- 決済条件(一括か分割か、手付金の有無など)
- 引き渡し時期と引き渡し方法
- 入居者がいる場合の敷金の引き継ぎ方法
- 原状回復に関する取り決め
とくに入居者がいるオーナーチェンジ物件では、賃貸借契約の内容を踏まえた確認が欠かせません。
収益不動産はいつ売るべき?売却を検討したいタイミング
収益不動産の売却は、市場価格の動向だけでなく、物件自体の収益性や所有者の資金計画によっても検討すべきタイミングが変わります。
空室が増えて収益性が低下している
空室期間が長期化している場合は、賃料設定、募集条件、設備仕様、管理会社の募集活動などを見直したうえで、収益性の回復が見込めるかどうかを判断する必要があります。改善の見通しが立たない場合は、収益性が保たれているうちに売却を検討する選択肢もあります。
大規模修繕の時期が近づいている
国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の平均的な実施周期は13年が最も多く、全体の約7割が12〜15年の周期で実施されています。
大規模修繕には数百万円から数千万円規模の費用がかかるため、修繕積立金の状況や自己資金での負担可否をあわせて確認し、売却と修繕のどちらを選ぶかを検討する必要があります。
築年数が古くなってきた
築年数が経過すると、法定耐用年数の残存期間が短くなり、融資審査における借入期間の制約が生じやすくなります。買主側の融資条件が厳しくなる前の段階で売却を検討することで、仲介での売却先も含めた選択肢を広く確保できます。
ローン返済やキャッシュフローが悪化している
金利上昇や空室の増加によって、家賃収入からローン返済額を差し引いた手残りが減少している場合は、キャッシュフローの状況を数値で確認したうえで、保有を継続するか売却するかを判断する必要があります。
相続した収益物件を手放したい
相続によって取得した収益物件は、相続税の納付期限や遺産分割協議の内容によって、売却を急ぐ必要が生じる場合があります。共有名義のまま保有を続けると、将来的な意思決定が複雑になりやすいため、早い段階で方針を決めておく必要があります。
資産の組み替えを検討している
保有する収益物件の利回りやエリアが投資方針と合わなくなった場合、売却によって得た資金を別の物件や金融商品に振り向ける、資産の組み替えという選択肢もあります。
【状態別】収益不動産でも買取できる?
収益不動産は状態によって買取の可否や条件が変わります。物件の状況ごとに、買取業者がどのような点を確認するかを整理します。
築年数が古いアパート・マンション
築年数が古い物件でも、立地条件や土地としての活用可能性が見込める場合は、買取の対象になります。建物としての価値よりも、更地化や建て替えを前提とした土地評価が査定の中心になることがあります。
空室が多い収益物件
空室率が高い物件は、現況の収益性が低いため、買取業者はリフォームや募集条件の見直しによる収益改善の余地を評価に織り込みます。現況の家賃収入だけでなく、改善後に見込める収益水準まで含めて査定される点が、仲介での評価とは異なります。
利回りが低下している物件
利回りが低下している物件でも、立地の希少性や将来的な資産価値の上昇が見込める場合は、買取の対象となり得ます。利回りの水準だけでなく、賃貸需要の見通しや周辺の再開発計画なども評価材料になります。
入居者がいるオーナーチェンジ物件
入居者がいる状態のまま売却するオーナーチェンジ物件は、賃貸借契約や敷金をそのまま引き継ぐ前提で取引されます。買取業者にとっては、引き渡し直後から家賃収入が発生する物件として評価されるため、比較的取り扱いやすい対象になります。
修繕が必要な一棟マンション・アパート
外壁の劣化や設備の不具合など、修繕が必要な状態の一棟物件でも、契約不適合責任を免責とする条件で買取が行われるケースが多くあります。修繕費用を売主が負担する必要がない点は、現況のまま早期に売却したい場合の利点になります。
再建築不可・違法建築など問題を抱えた物件
再建築不可物件や違法建築物は、仲介市場では買主の融資審査が通りにくく、売却が長期化しやすい傾向があります。こうした物件の再生・再活用に専門的なノウハウを持つ買取業者であれば、仲介よりも高い水準での買取や、より短期間での売却が可能になる場合があります。専門性の高い業者への相談が、条件面での選択肢を広げる鍵になります。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
二本松 敏
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